Research Abstract |
本研究では,母数空間に制約がある場合の統計的推測,特に検定問題に関するいくつかの有意義な結果をえることができた. 一つは検定関数の許容性を証明するための十分条件を求めた.この条件はSteinによる結果を拡張したものであり.より広いクラスの検定関数の許容性を示すことができる.例えばMenendez等によって与えられた,多面体により制約を受けた母数がある面に属するかという仮説を検定する問題において尤度比検定より強力な,検定の許容性はこの条件により初めて証明される. また最小母数に関する片側検定に関する結果も得られた.複数個の母数が存在するときにその最小値が正の値になるかどうかを決定することは重要な問題である.この問題に対する尤度比検定はあまり強力でないことが知られており,多くの研究者の興味をひく問題となっている.我々はまず母数に非負の条件を与えることで不偏な検定を構成し,その考えを発展させることにより当初の検定問題に対するより検出力の高い構成に成功した.その中で,対称群上のarrangement orderingのラテン方陣の集合上への拡張を論じた.またこれらの検定の検出力の単調性についても結果を得た. さらに,共分散行列が完全に未知の場合の片側検定についても興味深い結果を得た.このテーマに関する理論は未発達であり,今後の研究による理論的発展が期待される. これらの結果の一部は,高知大学で開催された研究集会などで発表し,また論文としてまとめ学術雑誌に投稿中である.
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