Research Abstract |
気球搭載用偏向度X線検出器の開発を行うために,プラスチックシンチレーター,NaI(Tl)シンチレーター及び光電子増倍管を購入し,基礎実験を行った。現在デザインを進めている検出器は散乱体としてプラスチックシンチレーターを,吸収体としてNaI(Tl)シンチレーターを使用している。そしてこれらのシンチレーターからの信号を光電子増倍管で読み出す。偏向した硬X線はその電場ベクトルに対して垂直に散乱されやすい傾向がある。そのため入射硬X線の散乱方向に対する情報と,散乱体でのエネルギー損失と呼吸体でのエネルギー損失を足し算する事で,入射偏向硬X線の偏向方向とエネルギーを同時に検出する事ができる。この検出器の性能はプラスチックシンチレーターの検出効率に大きく存在し,数keV程度の反跳電子のエネルギーデポジットをプラスチックシンチレーターから読み出す事ができれば,その性能は飛躍的に向上する。そのためプラスチックシンチレーターにおける反跳電子の検出効率を3keVから8keV程度まで,1keV刻みで測定を行い,その検出効率を測定した。その結果6keV以上では90%以上の検出効率が得られる事が確認された。また検出器の性能を決めるもう一つの大切なファクターであるモジュレーションファクターの基礎実験をプラスチックシンチレーターとNaI(Tl)を使って行った。その実験結果を計算機によるシュミレーションの結果と比べる事により,計算機のシュミレーションが実験を再現する事が確かめられた。以上の結果を基に,計算機によるフルシュミレーションを行った所,デザイン中の検出器は2時間程度の気球観測で,かに星雲からの偏向硬X線を検出できる可能性が充分あるといく事が確かめられた。その成果を平成5年度にサンフランシスコで開催された国際会議(IEEE)において発表した。
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