遷移金属ダイカルコゲナイド層間化合物の結晶構造と物性
Project/Area Number |
05740196
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
固体物性Ⅰ(光物性・半導体・誘電体)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
黒岩 芳弘 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (40225280)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1993: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 層間化合物 / 構造 / 構造解析 / X線回折 / 中性子回折 / 散漫散乱 / スピングラス / 鉄 |
Research Abstract |
層状物質TiS_2の層間にFe原子を挿入した層間化合物Fe_xTiS_2はx>0.4で強磁性相にx<0.2でスピングラス相に相転移する。また0.2<x<0.4の中間領域ではクラスターグラス相に相転移する。一方、Feの原子配置については、x=1/4およびx=1/3で超格子を形成するといわれているものの明確な構造解析がなされていない。また、他の濃度領域ではランダムな配置や超格子から適当にFe原子が抜けた配置が仮定されているだけである。本研究の目的は、X線回折法を用いてFe原子の配置を定量的に求め、磁性と大きく係る結晶構造についての情報を得ることである。実験は現有の回転対陰極型X線発生装置に今回購入した Mo ターゲットを取り付けて行った。回折装置には4軸回折計を使用し、今回購入したカウンターを組み込んで自動計測ができるように改造した。 クラスターグラス相については単結晶構造解析を行った。結果として、x〜1/4 および x〜1/3 でそれぞれ2a×2a×2c、√<3>a×√<3>a×2cの超格子を形成し、空間群はそれぞれP3^^-(Z=8)およびP3^^-1C(Z=6)であることがわかった。Fe原子はX〜1/3では濃度が多少変化しても、可能なalpha、beta、gammaサイトに1:3:0の比で配置する。そうするとX〜0.4でほぼbetaサイトが詰まってしまう。磁気相図によるとこのあたりが強磁性相との境界であり、Fe原子がスピン相間をもち始めるパーコレーションリミットであると思われる。一方、x〜1/4では可能なalpha、betaサイトにほほ均等に配置する。また、x<0.2の濃度の低いスピングラス相になるとFe原子は短距離秩序しか持たなくなることがわかった。スピングラス相では通常の構造解析ができないが、X線散漫散乱を解析し、局所モデルを構築した。その結果、Fe原子は6回対称を持って平均的には2a×2a×2cの格子を組んでいるように思われる。これらの結果は第16回国際結晶学会で発表した。
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Report
(1 results)
Research Products
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