ウランを含んだSn化合物のf電子に起因する低温物性異常
Project/Area Number |
05740236
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
青木 勇二 東京都立大学, 理学部, 助手 (20231772)
|
Project Period (FY) |
1993
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
|
Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1993: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
|
Keywords | ウラン化合物 / U_3Rh_4Sn_<13> / U_5Ru_6Sn_<18> / ギャップ形成 / (U_xY_<1-x>)Pd_3 / 四重極近藤効果 / 結晶場効果 |
Research Abstract |
実験装置の整備として、購入したデジタルマルチメータを用いた交流磁化率測定装置を作成した。これにより、ウラン化合物の1k以下の温度領域での磁気測定を可能とした。 まず、ウランを含む化合物としてU_3Rh_4Sn_<13>およびU_5Ru_6Sn_<18>を中心に低温物性を調べた。U_3Rh_4Sn_<13>は18Kにおいて反強磁性移転を示すが、ホール効果の測定により、この温度でフェルミ面の再構成と考えられるノーマルホール係数の変化が見られた。U_5Ru_6Sn_<18>は、0.25Kで8Tの磁場をかけることにより、抵抗が2.5倍になる非常に大きな磁気抵抗が観測されたが、ウランの5f電子の磁気モーメントによる伝導電子の散乱に起因していると考えられる。低温比熱に見られる0.7K程度のギャップは、6Tの磁場で0.3Kに抑えられ、電子比熱係数はgammaは220mJ/K^2mol-Uから、その約半分になることがわかった。ギャップ形成のメカニズム解明のためには今後の研究が必要である。ウランを希士類元素で置換した系の物性測定も行った。 同じウラン化合物である(U_xY_<1-x>)Pd_3で、新しいタイプの基底状態をもたらす四重極近藤効果の可能性が報告され、この系での研究の重要性が高まってきたため、この系の低温物性研究にさらに発展した。(U_xY_<1-x>)Pd_3のx<0.2の濃度領域に的を絞り、熱、磁気、輸送効果の測定を行った。その結果、(U_xY_<1-x>)Pd_3のウラン当たりの磁化率の温度依存は、結晶場効果で説明できるが、非常に大きな分子場パラメータlambdaを導入する必要があることがわかった。またこの分子場は、ウラン濃度xの減少とともに近藤温度T_Kと同様に増大することから、分子場は四重極近藤効果と密接に関連していることを明らかにした。これらの結果は、今年度内の論文発表には間に合わなかったが、平成6年度の国際会議The Intermational Conference on Strongly Correlated Electron Systems(8月、オランダ)及びInternational Conference on Magnetism(8月、ポーランド)で報告する予定である。 また、本研究の副産物として、上記の交流磁化率測定装置を用いて、低温で複雑な磁気転移を示すNdGa_2の磁場-温度の磁気相図を決定した。この結果も上述の国際会議で報告する予定である。
|
Report
(1 results)
Research Products
(3 results)