Project/Area Number |
05740278
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
物理学一般
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
田沼 肇 東京都立大学, 理学部, 助手 (30244411)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1993: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | イオン移動度 / 極低温 / 移動管 / 量子効果 / オ-ビッティング共鳴 / 分子イオン / ヘリウム / スウォーム |
Research Abstract |
本年度は現有の液体ヘリウム冷却型移動管を用いて、いくつかの分子イオンについて、液体ヘリウム温度(4.4K)におけるヘリウムガス中の移動度の測定を行った。具体的にはN_2,COおよびO_2の3種類のガスを試料として電子衝撃型イオン源に導入し、それぞれの親分子イオンN_2^+,CO^+およびO_2^+について移動管内の電場強度を変化させながら移動速度を測定した。室温、あるいは液体窒素温度におけるイオン移動度は、強電場領域に最大値を持ち、弱電場領域ではほぼ一定で、零電場の極限ではイオン-分子間相互作用として分極力のみを考えたときに理論的に導かれる値(ランジュバン極限)を取る、と考えられている。しかし、今回の極低温における測定では、何れの場合も非常に弱い電場において移動度が急激に低下する傾向が観測された。しかも、N_2^+の場合は弱電場での値がランジュバン極限とほぼ一致するのに対し、CO^+およびO_2^+ではそれよりかなり小さな値となった。N_2^+とCO^+は質量が同じで、電子構造もよく似ている。従って、移動度に見られる大きな違いは対称性に起因するものと考えられる。ところが、N_2^+と同様に等核二原子分子イオンであるO_2^+は、CO^+と類似した依存性を示している。これらの点はまだ十分に理解することができていない。しかしながら、弱電場での移動度は急激な低下は衝突断面積の急激な増加に対応し、オ-ビッティング共鳴として知られている。量子的な効果によると考えられる。まだ理論的な裏付けが不十分であるが、極低温での移動度測定がこれまでの常識を覆す結果を出したという点で意義のある成果と言える。なお、この結果については1993年7月にノルウェーで開催された第8回国際スウォームセミナーにおいて発表を行った。
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