Research Abstract |
近年の計算機の能力の発達は地震波動場の数値シミュレーションを実用化させた。その波動計算から得られる膨大な情報を効率よく処理し、物理的に重要な波動現象のメカニズムを引き出すための手法として波動場の可視化が不可欠である。また,地震波動現象を理解する訓練のために動画教材が必要である。本研究では地震波動の可視化技法の開発を行うと共に,この技法を用いて2次元波動場の動画教材を作成した。波動計算は北海道大学情報処理教育センターの大型計算機を利用して2次元Pseudospectral法を用いて行った。その計算結果は同センターの動画作成システムを用いて可視化し,VTRに収録した。この可視化のためのアルゴリズムとのプログラミングを行った。地震波はベクトル波であり,振動モードの異なる二つの波(P波,S波)が存在する。また,これらの波は媒質の不連続点で透過,反射現象を起こすほか,異種の振動モードへの変換も起きる。そこでこれらの波同の種類を区別できるように振動モードを分離し,P波は赤,S波は緑で表示することにした。そして,これら波の発生,伝播および変換についての基本現象を理解するための動画教材ビデオを作成した。題材には1)波の発生,2)平面波の反射と臨界角,3)屈折波の発生,4)表面波の発生,5)表面波の分散,6)波の散乱などの基本現象と7)地下レーダの原理,8)反射法地震探査のイメージ,9)相反定理のイメージなどの地震探索に関するものがある。これらの成果は地震学会,物理探索学会および情報処理学会のポスターセッションで発表した。また,同教材を希望する9つの機関に配布した。今後の課題として,3次元波動場の可視化技法と動画教材の作成のための精度より高速性を重視した計算法の開発がある。
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