Project/Area Number |
05740330
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Petrology/Mineralogy/Science of ore deposit
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長瀬 敏郎 東北大学, 理学部, 助手 (10237521)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1993: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | シリカ鉱物 / オパールCT / 石英 / 熱水合成 / SEM |
Research Abstract |
石英の準安定相であるopal-CTの形成過程を明らかにするため、熱水合成実験ならびにその生成物の解析を行い、さらに天然に産するopal-CTの解析の結果との比較を行った。熱水合成実験では出発物質として粒径を調整した高純度シリカゲルを用い、反応溶液は0.1NのKOH溶液を用いた。さまざまな割合で反応溶液と出発物質をシリカチューブに封入し、150〜300度の温度で合成を行った。opal-CTは温度180度から200度の実験で生成が確認され、250度以上では、石英のみの生成が確認された。実験後、生成場所が特定できるように、シリカチューブから生成物を慎重に取り出しSEM試料を作製し、残りを粉末X線解析に施した。SEMでの観察により以下の様な組織的変化が明らかとなった。反応溶液が出発物質の容積より少ない場合、opal-CTは出発物質であるシリカゲルの隙間を満たし、シリカゲルを取り巻くように形成しており、シリカゲルは徐々に溶脱する。さらに反応が進むと、そのシリカゲルが溶脱した抜け穴部分に石英の球晶が生成し沈殿する。反応溶液の容積が出発物質より多い場合は、出発物質の最上部に石英の球晶のみからなる層の沈殿がみられ、この上層部分に:opal-CTは見られない。また、シリカチューブ壁面においても石英がシリカガラスの溶脱と同時に形成されている。この時、シリカゲル内部の組織は反応溶液が少ない場合と同じである。このことからシリカゲルの粒間での反応と上澄み溶液中での反応経路は大きくことなり、粒間ではopal-CTの準安定相の形成されるが、上澄み溶液中では直接石英が形成されている。このことはそれぞれの場での溶液中のシリカ濃度が大きく異なっているためと考えられ、シリカゲルと多く接している粒間の溶液の方が、シリカゲルの高い溶解度のため、より速く高濃度溶液となり、opal-CTの生成が起こったのに対し、上澄み溶液では、濃度が上昇速度が遅く、過飽和度があがる前に石英の生成が起こったと考えられる。以上の熱水合成実験結果からopal-CTはシリカゲルの溶解沈殿反応により生成され、そして形成の場に大きく関与することが明らかになった。また、この解析結果から、opal-CTの溶解沈殿相転移速度は従来の実験値より1/2〜1/3倍遅いことが明らかとなった。今回合成されたopal-CTは全て、opal-CT lepisphere と呼ばれる形態をもつタイプである。天然でのopal-CTの試料について組織の観察した結果では、このlepisphereは結晶粒間や空隙部など自由な成長空間でかなり長期にわたり溶液と反応を起こして生成したと考えられるものに多く、この点について、今回の実験と比較すると、粒間に生成される部分では一致するが、大きな空隙部では一致しない。天然において空隙部に産する場合は、シリカに非常に過飽和な溶液が空隙部をみたし、これから形成したと考えられる。また、このlepisphereの最強X線ピークは約4.08〜4.09Åと、天然の試料の値と一致し、現在の段階ではこの値はlepisphereの固有値と考えられる。
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