Project/Area Number |
05740340
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
地球化学
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
三瓶 良和 島根大学, 理学部, 助手 (00226086)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1993: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 分解速度定数 / 硫化物硫黄濃度 / 有機炭素濃度 |
Research Abstract |
【目的】 本研究は、堆積物表層付近における有機物の分解速度定数と硫化物硫黄濃度の関係を明かにする目的で行ったものである。 【方法】 試料には宍道湖の柱状堆積物を用い、表層から約20cmの有機炭素濃度の減少を分解によるものと見なし、玉井・松本(1988)の210Pb年代測定値を用いて、分解速度定数を算出した。ただし、宍道湖では近年の栄養塩濃度の増加があり、これによる有機炭素濃度の増加も考えられるため、この算出値はupper estimateと見なされる。有機炭素濃度は、乾燥試料を200メッシュ程度に粉砕し、約50mgを秤量後1N-HClを添加してホットプレート上で乾燥させ、YANACO-CHNコーダーMT3で測定した。また、イオウは温水(50℃)抽出後、空気燃焼法(三瓶ほか,1991)によって硫化物イオウ(主にパイライト)を測定した。 【結果】 本研究では、柱状試料から得られた鉛直変化の0〜20cmにのみ着目した。有機炭素濃度と硫化物硫黄濃度の鉛直変化を図1,2(別添)に示した。有機炭素濃度はいずれの地点でも表層の2〜3%から約20cmで1%程度まで減少している。イオウは、同深度内では、中央部を除いてほぼ一定である。 【考察】 図3(別添)に、各試料採取地点の有機炭素・窒素によるの分解速度定数を示した。炭素、窒素とも同様な地域分布を示し、斐伊川(宍道湖への流入量の約7割を占める)に近い西域では、分解が速く、中央域で遅いことを示している。この分解が主に硫酸還元によるものであるならば、イオウの濃度も同様な地域分布を示すものと考えられるが、図2ではむしろ逆で、西域、東域で低く、中央域で高い傾向を示す。このことは、当初予測していた結果とは逆であり、宍道湖の0〜20cmの分解には、特に西域・東域では硫酸還元による分解とは別の分解因子が効いていることを示唆するものである。今年度の研究では、この因子の特定はできなかったが、引き続き中海堆積物での検討を行っていきたい。
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