Project/Area Number |
05740372
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Physical chemistry
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤井 朱鳥 東北大学, 理学部, 助手 (50218963)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1993: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 多重共鳴法 / 高軌道角運動量状態 / リドベルグ状態 / 自動イオン化 / 前期解離 / 多光子イオン |
Research Abstract |
レーザー多光子イオン化分光法により、NO分子の高電子軌道角運動量状態、ngリドベルグ状態(n=11-67,v=0,1)を観測することに成功した。電子雲の重なりがないため基底状態からの遷移確率が全くない高電子角軌道運動量状態を励起するため、三波長三重共鳴法を用いた。具体的には、まず第1のレーザー光によりNO分子を基底状態からA状態へ励起し、続いて第2のレーザー光により4fリドベルグ状態へと励起する。そして第3のレーザー光により4f状態からngリドベルグ状態へと励起を行った。ng←4f遷移はリドベルグ状態間での遷移であるので、フランク・コンドン因子によりDELTAv=0の振動選択則が厳しく働く。これに4f状態で単一回転準位を選んでることから角運動量選択則による制限が加わり、状態密度が非常に高いエネルギー領域であるにも関わらず、単一回転準位まで分離して観測することが可能になった。 観測されたエネルギー準位は長距離力モデルを用いた理論計算により実験誤差の範囲内で完全に再現され、このモデルの高軌道角運動量状態に対する有効性を実証した。 高軌道角運動量状態の動力学に関して、理論的予測が為されていた高速自動イオン化過程の存在が、初めて実証的に確認された。イオン化強度の時間変化から自動イオン化速度が見積もられ、理論値と良い一致をみた。また、今まで全く予想されていなかった前期解離過程の存在が発見され、高電子軌道角運動量状態においても前期解離の果たす役割が無視し得ないことが分かった。 本研究は高い主量子数の高電子軌道角運動量状態を状態選択的に調べた初めての例であり、ゼロ運動エネルギー光電子分光法や星間化学的、高電子軌道角運動量状態が重要な役割を果たしている諸分野に基礎的な情報を与えた。
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