Research Abstract |
本研究は,含窒素複素芳香環を導入した有極性両親媒性化合物を対象として新規化合物の設計,合成を行い,発色団の会合状態を考慮した二次非線形光学材料を創製することを目的に行ったものである。その主な成果は次のとおりである。 1 4-ドデシルオキシビフェニル-4-カルボン酸のカルボキシル基側のベンゼン環をピラジン環,ピリジン環,ピリミジン環,ピリダジン環で置換した両親媒性化合物の非対称ラングミュアーブロジェット膜において,膜中での分子配向性・会合状態とYAGレーザー光を入射したときのSH波強度を評価した。SH波強度に関して,膜法線方向の分子配向性が,最も高いピリダジン体の膜は,ピラジン体膜の約1/2程度であり,より非線形光学薄膜として高性能のものを得るには非対称方向への分子分極方向の配向以外の因子を制御する必要があることを明らかにした。 2より大きな分子超分極率を持つ,ピラジン環を含む三環性タ-フェニル型両親媒性化合物5-(4′-ドデシルオキシ-4-ビフェニル)v)ピラジン-2-カルボン酸を新たに合成した。この非対称累積膜では,二環性ピラジン体膜よりも高い分子配向性を示したが,SH波強度は同程度であり配向性と分子超分極率の増加の効果は現れなかった。ところが,この化合物とアラキジン酸との混合膜とすると分子の会合状態がH会合からJ会合へと変化し,混合比3:1まではSH波強度が相対的に増加することを見出だし,分子の会合状態を制御することによってより大きなSHG効果を得ることができることを明らかにした。
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