新しいCaged化合物のためのリン酸の保護基の開発
Project/Area Number |
05740443
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
物質変換
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
古田 寿昭 東邦大学, 理学部, 講師 (90231571)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1993: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | Caged化合物 / リン酸 / 光分解性保護基 / 酸化銀 / ピレニルメチル基 |
Research Abstract |
c-AMPなど、生理活性リン酸類のCaged化合物として実際に応用例が報告されているのは、ニトロベンジルエステル誘導体のみである。光放出の効率と毒性に問題があるにもかかわらず、この型の化合物ばかりが用いられているのは、リン酸エステルの合成法と光反応性の検討が立ち後れているからである。 私は、これとは全く異なる構造を持ち異なる機構で光分解する保護基の開発を目指して研究を続けているが、平成5年度の研究で、リン酸の新しい光分解性保護基として1-ピレニルメチル基が有効であることを見いだした。まず、簡単な構造のリン酸をモデルに選び、その放出効率を従来報告されている他の保護基と比較したところ1-ピレニルメチル基が圧倒的に速く、これが長波長領域で大きなモル吸光計数を持つことと分解の量子収率が比較的大きいことによることを明らかにした。さらにこの過程で、リン酸を中性条件下、直接誘導体化する簡単な方法も開発した。この方法はリン酸とハロゲン化物を酸化銀で縮合するもので、難溶性のハロゲン化銀と水が副生するだけなので、ろ過するだけで生成物を単離精製できる。またこの方法で無保護のcAMPのリン酸部分にベンジル、2-ニトロベンジル、7-メトキシクマリンなどの光感受性基を60%程度の単離収率で導入することもできた。 しかし、リン酸の1-ピレニルメチルエステルは酸や塩基に弱く、光を遮断しても水溶液中で徐々に分解してしまうこともわかった。この不安定性はベンジル型であることに起因しており、置換基による修飾では抜本的な改善は望めなく、Caged化合物への応用を考えると大きなマイナス要素である。事実ベンジル基ですらcAMPに導入した場合、pH7の水溶液中での半減期が4時間と非常に短い。現在これらの基礎的なデータを基に更により良いCaged化合物の開発を目指して研究を続けている。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)