Research Abstract |
(1)蛍光ビーズを用いたボウフラによる浮遊粒子の摂食効率に関する実験 直径1mumの蛍光ビーズを2.1×10^8個/mlの濃度で滅菌水に入れ,ヤマダシマカの3齢幼虫20頭を20mlの蛍光ビーズを含む水の中に放し,30,60,120,240,360分後に取り出して,腸管の中に取り込まれたビーズの量を,蛍光顕微鏡に接続した画像解析装置によって測定した.結果として,幼虫はビーズを毎分20000個の速度で取り込み,腸管内のビーズは240分後に,5×10^6個でプラトーに達した.この実験より,ボウフラがデトリタスだけでなく,浮遊性のバクテリアでも効率よく摂食する可能性が示唆された. (2)シマカ各種とPseudomonas fluorescenceを用いたボウフラの発育に関する実験 ボウフラが生きているバクテリアだけを餌として発育成長できるかどうかを検討するために,2つの実験を行なった.まず,バクテリアを培養し,滅菌水の中に,0,10^6,10^7,5×10^7セル/mlの濃度で拡散させ,孵化直後のネッタイシマカ,ヒトスジシマカ,リバースシマカの1齢幼虫を入れて25℃においた.この実験では,どの種も2齢まで発育しなかったが,生存期間はバクテリア濃度が高いほど長かった. 次に,培養したバクテリアを遠心機にかけることによって試験管の底に凝集させ,そこにヒトスジシマカの1齢を入れて発育を観察した.バクテリアのセル数は,試験管当たり4.3×10^<10>,でボウフラの個体数は10頭である.この実験では,40%の幼虫が成虫まで発育した.死亡は餌のバクテリアの枯渇によるものとみなされた.このことから,凝集した状態であれば,バクテリアはより効率よく摂食され,有効な餌となることが明かとなった. (3)自然界のボウフラ生息場所におけるバクテリア濃度についてのデータを得るために,各地で竹切り株,樹洞の水の採取をおこない,分析を継続している.
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