無尾両生類における下垂体神経葉ホルモン合成活動の変動の解析
Project/Area Number |
05740494
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
生物形態・構造
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
兵藤 晋 東京大学, 教養学部, 助手 (40222244)
|
Project Period (FY) |
1993 – 1994
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
|
Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1993: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
|
Keywords | 下垂体神経葉ホルモン / バソトシン / 無尾両生類 / 浸透圧調節 / 変態 / 遺伝子発現 / ウシガエル |
Research Abstract |
両生類は、脊椎動物が陸上へ進化する中間に位置している。下垂体神経葉ホルモンが両生類の体液浸透圧調節機構においてどのような役割をはたしているかを明らかにするため、ウシガエルの個体発生(特に変態)の過程において、正常および浸透圧刺激にともなうバソトシン(VT)遺伝子の発現量の変動を調べた。 平成4年度に作製した、ヒキガエルのVT mRNAに対する合成DNAプローブを用い、ノーザンブロット法により解析した。VT遺伝子の発現は、足指形成期のステージ(St)7〜10ですでにみられた。発現量は個体発生とともに増加したが、特に前肢が伸びるSt20において顕著な(統計的にも有意な)増加を示した。このSt20は、幼生が陸上に進出する変態最盛期に相当する。 雄の成体を高浸透圧刺激(絶水および30%海水中での飼育)にさらすと、VT mRNA量は増加した。絶水による上昇は統計的にも有意であった。一方、幼生を30%海水中で飼育したところ、St15以後で、有意な増加を示した。St10以前では、発現量の増加はほとんど見られなかった。St10以前では、VT投与にともなう体重の増加(水の吸収)もほとんどおこらないことが、他の研究者により示されている。この時期では、VT産生ニューロンに浸透圧刺激に対する反応性がないだけでなく、標的器官の反応性も存在しないと考えられる。 今回、ウシガエルでは、陸上に進出する変態最盛期にVTの合成が顕著に増加すること、VT産生ニューロンは変態始動期から浸透圧刺激に対する反応性を獲得することが明らかとなった。すなわち、ウシガエルが変態にともなって陸上に進出していくために、VTが非常に重要な役割を果たしていることが示唆される。今後さらに、標的器官におけるVT受容体の動態を明らかにできれば、VTの役割をより明確なものにできると考えている。
|
Report
(1 results)
Research Products
(1 results)