Project/Area Number |
05740510
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
動物生理・代謝
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
蟻川 謙太郎 横浜市立大学, 文理学部, 助手 (20167232)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1993: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 光受容 / 交尾行動 / 昆虫 / 鱗廻目 / 交尾器 / 眼球外光受容 / 行動 |
Research Abstract |
本研究は、チョウ類交尾器にある特異な光受容系の動物行動における役割を明らかにする研究の一環として行なわれた。ここでは特に光受容細胞を破壊されたオスの交尾行動を野外に設置した網室内で詳細に観察し、光受容細胞と交尾行動の関連について考察した。 網室は7×11×3mの大きさで内部には吸蜜植物および産卵植物を適宜配置した。実験室内で飼育・羽化させたナミアゲハをこの網室に放すと、早いものではすぐに吸蜜や追飛行動を開始した。交尾行動も頻繁に行われた。 実験に際して、網室内に固定した針金の先端に、処女メスの胸部背側を蜜蝋で接着した。メスははばたくことはできるが、実際に飛ぶことはできない。メスを固定した網室の中にオスを放すと、オスは程なくメスを発見し交尾する。交尾は正常に行なわれおよそ1時間で終了する。 交尾器における光受容と交尾行動との関係を調べるため、光受容細胞の存在する交尾器部分を、細かく研いだハンダゴテで熱処理したオスを準備した。交尾行動は、網室内に固定したメスと自由に飛翔するオスとの間で行なわせ、その様子をビデオ記録し詳細に観察した。正常オスではメスを発見後腹部を曲げ、把握器を開いてメスの交尾器を探索する。探索は10秒程度で終了し、交尾器が強く結合する。熱処理オスは交尾器の探索は正常に行なうものの、メス交尾器を把握器で強くはさみつけることができず、結局交尾が成立した個体はなかった。この結果は、交尾器の熱処理によって生じたオス側の変化が、正常な交尾行動の障害になったことを示している。 熱処理の効果を電気生理学的に調べた結果、光受容細胞の反応が完全に消失している一方、そのごく近くに密生する機械感覚毛の反応にほとんど異常がみとめられなかった。すなわち、交尾器上の光受容細胞が破壊されたことが、正常な交尾行動の障害となった可能性がある。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)