Project/Area Number |
05740523
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
系統・分類
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
太田 英利 琉球大学, 理学部, 文部教官助手 (10201972)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1993: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | キノボリトカゲ属 / 種分化 / 系統進化 / 分類 / 地理的変異 / 生物地理 / 形態 / 酵素タンパク |
Research Abstract |
琉球列島・台湾に分布するキノボリトカゲ属の種分化・系統進化の過程やその要因を解明するべく、各種・個体群の間で、外部形態、酵素蛋白、および染色体の比較を行なった。多変量解析法を用いた外部形態の比較の結果から、種キノボリトカゲでは、奄美諸島、沖縄諸島、宮古諸島と八重山諸島の石垣島と西表島、八重山諸島の与那国島、およびの台湾の集団の間で明瞭な分化が生じていることがわかった。このような形態的形質における地理的変異のパタンは、酵素蛋白を支配する対立遺伝子の頻度の地理的変異のパタンともほぼ一致し、各個体群の島嶼隔離の歴史的な順序を反映していると解釈された。ただこのうち与那国島の個体群については、分化の程度が他の個体群のすべてに対していちじるしく大きく、特異的な大きさや行動における性的二型のパタンを示すことなどから考えても、与那国島の個体群の分化に当たっては、創始者効果や瓶首効果、さらには島の大きさからくる環境要因が大きく作用していることが考えられた。台湾産のキノボリトカゲ属については、おもに染色体の形や数、さらに外部形態などの指標から、近年申請者が発見した山地棲の2種が、従来知られているよりはるかに広範囲に分布し、かつ低地棲のスインホ-キノボリトカゲと高度によって明瞭に棲み分けていることが明らかになった。一方、台湾の離島である蘭嶼と緑島産のスインホ-キノボリトカゲの個体群は、形態的にも遺伝的にも従来考えられていたよりはるかに大きく本島産の個体群から分化していることも解った。こうした分化のパタンは、近年地学的証拠に基づいて示された両島の隔離・成立の歴史とも整合性が高かった。本研究におけるこれらの成果の概要は昨年12月から本年1月にかけてオーストラリアで開かれた第二回世界爬虫両生類学会議の中の生物地理学シンポジウムにおいて口頭で発表した。今後、早い時期に学術雑誌にて公表する予定である。
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