Project/Area Number |
05740524
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
系統・分類
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
橋本 佳明 姫路工業大学, 自然・環境科学研究所, 講師 (50254454)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1993: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 系統分類 / 機能形態学 / アリ科 / 膜翅目 / 有剣類 / 腹柄節 / 筋肉系 |
Research Abstract |
アリ類(Formicidae)の系統進化とアリ類を含む膜翅目有剣類(Aculeata)の腹部の関節構造の進化的蛍光を明らかにするため、有剣類の腹部関節構造と筋肉系の解析を行った。その結果、1)有剣類において、その腹部の構造と筋肉系の進化的な改変様式には3つのグレードが見られた。2)最初の、そして最も単純な改変はTipiidae,Scoliidaeで見られた様式で、これらの有剣類では腹部第3節のPrecsleritesは伸張して、前節である腹部第2節に緊密に差し込まれる突出部を形成していた。3)次のグレードはVespidae,Eumenidae,Masaridae,Formicidaeで見られた様式で、これらの有剣類では腹部第3節Prescleritesが突出部を形成するだけでなく、腹部第2節の後腹端に腹部第3節Pretergiteの前下端を受ける特異な関節溝が形成され、より強く下方へ腹部を曲げることができる構造となっていた。4)最後のグレドはFormicidaeの一部で見られる改変で、関節溝はなくなり、そのかわりに腹部第3節のPrescleritesが下方に膨張して、腹部第3節の突出部はボール状となり、関節部の運動性能をより高いものとしていた。5)これらの3つのグレードが見られた有剣類では、腹部の背節筋肉系に改変が生じ、本来腹部背節のretractorとprotractorの役割を有する筋肉が、腹部全体のlevatorとdepressorに役割を改変していることがわかった。6)FormicidaeとVespidaeの仲間が、有剣類のなかで唯一同様の腹部関節構造を有していることがわかり、これまでポジティブな証拠がなく不明であったアリ類の姉妹群として、Vespidaeの仲間が有力であることが示された。7)外観的にはTipiidae様の明確にくびれない腹部第3節を有するため、ノコギリハリアリ族(Amblyoponini)はこれまで最も祖先的なアリ類であると見なされてきた。しかし、その腹部関節構造と筋肉系は他の高等なアリ類と同様であるとわかり、その外観が筋肉系の改変にともなう二次的な改変であることが示唆された。8)腹部の外観的な類似から、フタフシアリ亜科(Myrmicinae)の姉妹群として、フシナガアリ亜科(Pseudomyrmicinae)が認められてきたが、その関節構造と筋肉系の解析からこの両亜科間にポジティブな類似点はなく、むしろハリアリ亜科(Ponerinae)のEctatomminiとフタフシアリ亜科の間にポジティブな類似点が見られた。このことから、フタフシアリ亜科の姉妹群としてはハリアリ亜科の一部が有力であると示唆され、かつこのことからハリアリ亜科の単系統性も疑問視された。これら本研究から得た新知見は、"Skeletomuscular modifications associated with additional petiolar-fornation on anterior abdominal segments in aculeate Hymenoptera"に取りまとめ、Systematic Entomology誌に投稿した(投稿中9)。
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