Research Abstract |
構造物として使用されるCFRPは繊維を一方向にそろえた薄層(ラミナ)を重ねた積層構造となっている。荷重を負荷すると,層間および繊維で強化されていない層内で破壊が複雑に進展し最終破断に至る。この中で,層間破壊と層内破壊は,繊維の配列,樹脂の分散等のメゾスコピックな構造は異なっており,詳細には異なることが予測される。本研究ではこの観点から,層間,層内の破壊試験を行い,靭性値の比較を行った。また,繊維界面,樹脂特性が間,層内特性に及ぼす影響を検討した。結果の要点は下記のとおりである。 1)層内の破壊靭性評価について,双方持ち梁試験が簡便な,中央切欠引張試験片を90°方向引張試験片から作製して試験を行い,破壊靭性値が評価できることを確認した。 2)繊維・/樹脂界面の接着強度,樹脂の靭性によらず,いずれの場合も層内の靭性値が層間の靭性値より大きくなった。 3)破面の電子顕微鏡観察より,層内破壊では,繊維の橋掛け現象が認められ,これが靭性を大きくしている一因と考えられる。 4)層間の破壊靭性の初期値は主に母材樹脂の靭性に支配され,繊維/樹脂界面の強度の影響は少な買った。 5)層内の破壊靭性は樹脂の靭性とともに繊維/樹脂界面強度の影響を大きく受け,界面強度の大きい繊維を用いた方が,層間の靭性と比べ著しく大きくなった。これは,層内破壊の場合,層間と比べて繊維近傍の破壊の寄与が大きくなるためと考えられる。
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