Research Abstract |
典型的脆性材料であるセラミックスは空孔や介在物,加工傷等の潜在欠陥を核とする微小き裂の臨界寸法への成長が突発的破壊を引き起こす。したがってセラミックスの強度評価には微小き裂進展特性の解明が必要である。しかし確立的に分布した潜在微小欠陥から最終的に破壊起点となる欠陥を特定し,その欠陥からのき裂の成長過程を詳細に追跡することは非常に困難である。本研究では破壊起点を特定するため,模擬表面欠陥としてビッカース及びヌープ圧痕によるき裂を導入したJIS四点曲げ試験片形状に加工された窒化ケイ素及びアルミナセラミックスを用い,常温において繰返し曲げ疲労試験を行った。また各応力繰り返し数に対応する微小き裂の長さ及び経路の測定と破面解析を行い,得られた結果の詳細な検討から,人口微小欠陥からのき裂進展挙動について検討を加えた。本研究により,得られた結果を以下に示す。 1.模擬表面欠陥としてビッカース及びヌープ圧痕によるき裂を導入にた場合,圧痕直下に発生する圧縮残留塑性領域がき裂を開口し,圧痕近傍のき裂の進展速度を増大させる。この傾向はビッカース圧痕を用いた場合の法が大きい。 2.両材料とも,き裂の架橋効果や先行き裂の影響により,確実な微小き裂長さ測定が困難である。 3.破断面は,初期微小き裂領域,き裂進展領域,即時破断領域に分けることができるが,人口欠陥を有しない同一材料の破面に見られる,ミラー,ミスト,ハックル領域は認められなかった。 4.ビッカース及びヌープ圧痕により人工欠陥寸法は,実際の潜在微小欠陥寸法と比較して大きく実際の潜在微小欠陥からのき裂進展挙動に適用するには,さらに小さい人工欠陥の導入が必要である。
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