Research Abstract |
セミックス製の微小金型を製作する場合,一般には小径砥石が用いられる.しかしこの場合,砥石周速が小さいこと,有効砥粒切れ刃の数が少ないことなどの理由から,良好な仕上げ面あらさを得ることが非常に困難である.こうした問題を解決する方法として本研究ではフレティング法を提案し,平成4年度にはその基礎実験として工作物に砥石軸方向の超音波振動を与えながら切断加工実験を行った.その結果,超音波振動が研削抵抗の低減や仕上げ面あらさの向上に効果的であるとの結果を得た.本年度は,その方法を3次元形状加工に拡張するため,超音波振動の振動モードを3次元方向に制御することが可能な振動装置本体とそれを駆動するためのドライバ回路を試作した.試作した振動装置本体の概要を述べる.振動装置本体にはランジュバン型振動子を3個用い,それぞれに振幅拡大のためのイクスポ-ネンシャルホーンを取り付けた.それらは中央部(振動時に節となる位置)で支持され,中心軸が互いに直交するように工作物台(径:約10mm,厚さ:約7mm)に接続されている.次に,ドライバ回路の概要について述べる.ドライバには正弦波電圧と6つの指令電圧(コンピュータからDA変換器を介して1軸に対してそれぞれ2つ)が入力される.入力された正弦波電圧はドライバ内部で90°位相シフタに入力され,その出力として正弦波電圧およびそれに同期した余弦波電圧を得る.さらに,これらと6つの指令電圧の間でアナログ演算を行い.所定の振幅および位相差を持つ3チャンネル分の信号電圧を得る.そして信号電圧をアンプで増幅する.概要は以上であるが,現時点では振動装置の振動モードを詳しく調べるまでには至っていない.今後は,それを調べた後,どのような振動モードで加工を行えば加工面あらさが向上するのかなどについて検討したいと考えている.
|