Research Abstract |
生物は,その形態を環境に応じて様々に変化させることにより進化してきたものと考えられている。環境に適合するものは生き残り,そうでないものは死滅することによってその時々の環境によりよく適合するものがより多く生存している。このような進化の性質を形状設計問題に当てはめてみると,各形状を生物の個体,環境をその形状に要求される仕様である,とみなすことができる。本研究では,形状を生物として取り扱うために,形状の遺伝子表現を与えるとともに,その遺伝子からの形状発現様式を定め,遺伝アルゴリズムなどを用いて,進化による目的形状の自動創成法の確立を図った。 得られた成果は以下のようにまとめることができる。 1.任意形状が表現可能であるような形状表現法として,FFD(Rree-Form Deformation)による表現法を採用し,形状の遺伝子表現としてFFDの格子状制御点を用いる方法を提案した。 2.この遺伝子表現に対して,再生・交配・突然変異などの進化のためのオペレーションを定義した。特に,交配オペレーションは,遺伝子同志の混ぜ合わせ操作であり,その混ぜ合わせによって(1)形状遺伝子表現の枠組みから外れないような操作であり,(2)親の部分的な性質を受け継ぐ,必要がある。そのような交配オペレーションとして,FEDの格子状制御点をN次元配列として表現し,二つの親の部分配列を交換するグリッド型Crossoverを考案した。 3.以上のような表現形式およびオペレータを組み込んで,進化的形状モデリングシステムのプロトタイプを作成し,計算機実験を行なった。その結果,(1)本手法により進化的に形状を創成出来ること,(2)ランダムサーチとの比較により,本手法が高効率で目的形状に収束すること,(3)適合度関数における評価項目として,FEMなどの高度な評価手法も容易に組み込むことが可能であること,などを確認した。
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