Research Abstract |
モデルガス試験の結果から,酸素共存下におけるNOxの選択的還元触媒として期待されている銅イオン交換ZSM-5ゼオライト触媒を実際の圧縮着火機関の排ガスに適用して,そのNOx浄化性能について実験的評価を行った.また,イオン交換金属種の影響についても検討を行った. その結果,同触媒は水分濃度が低いときには,比較的高いNOx浄化能力を有し,通常運転の場合で約25%,排気にエチレンあるいは軽油を添加して炭化水素濃度をNOx濃度の5倍程度まで増加させた場合には約80%の浄化率が得られることが示された.ただし,最大活性温度が400℃と高く,しかも作動温度領域がその前後50℃の狭い範囲に限られること,また通常の排ガスに含まれる程度の水分濃度でも,触媒活性が不可逆的に低下することが明らかとなり,実用化を考える上で問題となることがわかった.つぎにイオン交換金属種を白金に変えて同様の試験を行ったところ,銅イオン交換タイプに比べてNOx浄化率が若干向上するほか,最大活性温度が約100℃低下し,作動温度範囲も拡大することがわかった.また,水分が高濃度で存在する場合には,浄化率の温度特性が全体的に高温側へ50℃シフトして低温側の活性がわずかに低下するものの,最大浄化率および作動温度範囲はほとんど変化せず,白金イオン交換タイプは耐水性に優れた触媒であることが確認された.ただし,軽油を添加して排気中の炭化水素濃度を増加させても浄化率は向上せず,反応経路が銅イオン交換タイプと一部異なることが示唆された.
|