Research Abstract |
火花点火機関において燃焼変動に及ぼす燃料濃度変動の影響を定量的に示すためには,燃料室内における燃料濃度のサイクルごとの変動を正確に測定する必要がある.本研究では,炭化水素系燃料の吸収帯が赤外線レーザ光の波長3.39mumと一致することを利用して,圧力,温度が急激に変化する圧縮・膨張行程において燃焼室内を通過させたレーザ光の吸収率からプロパンあるいはメタンと空気との混合気中のプロパンあるいはメタン濃度を精度よく測定する方法を確立することを目的としている. 1.圧力が100〜800kPa,温度が280〜420Kの範囲において,プロパンおよびメタンのモル吸光係数の圧力,温度依存性を調べた結果,プロパンのモル吸光係数は温度にはほとんど影響されず,圧力が増加するとわずかに減少すること,メタンのモル吸光係数は温度の増加によってわずかに減少し,圧力が増加すると急激に減少することがわかった.これらの結果から,モル吸光係数を与える実験式を作成した. 2.実験用機関にプロパン-空気の均一混合気を流入させてモータリング運転を行い,圧縮・膨張行程での燃焼濃度の変化を測定した.本測定法により定性的には濃度測定が可能であるがわかった.しかし,観測窓の汚染,帰化した潤滑油あるいはエンジンよる振動などに帰因すると思われる出力信号のノイズが存在するため,供給当量比と測定した当量比とは定量的には一致しなかった.これら要因を取り除いた実験を現在検討しており,実施する予定である.
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