Research Abstract |
問題の大規模・複雑化に伴い,これを円滑かつ協調的に進めていくためのシステム化技術の開発が急務となっている。そこでは利用可能な時間や情報などの資源には限界があり,この制約下でプランの生成と実行に費やされべき資源の有効利用を計っていかねばならない。さらに問題解決に必要な情報がもれなくタイムリ-に与えられることは稀であって,環境のアクティブな知覚・解釈を同時実行していかねばならないが,センシングによって低減できる不確実性が十分そのコストに見合ったものかどうかのトレードオフ分析が必要がある。本研究ではこのような(1)目標達成のためのプランの生成と実行(2)資源管理のための行動(3)不確実性管理のための行動,の3種の異なる行動戦略の協調と融合を可能にするインテリジェント制御系を設計した. 主な内容としては, (1)多種類のセンサ計測情報・制御対象の内部状態・アクチュエータによる制御操作の間に介在する確定的・不確定的な因果関係や依存関係を,人工知能の機械学習の手法を用いて,外部世界とのインタラクションの経験から自律的に学習するための方法論の提案を行なった。 (2)上記の学習されたモデルを,確立推論の手法であるインフルエンス・ダイアグラムを用いて記述し,その解析を行なった。 (3)制御システムが不確実下で行なう行動決定の影響波及の予測と目標への効用分析を上記モデル上での推論で行ない,観測される計測情報から期待価値を最大化する最適行動を導出する手法を提案した。 (4)制御システムがおかれている状況特性,すなわちリアルタイム性や制御結果のリスクに対する価値の違いを反映した制御系の設計手法の提案を行なった。 (5)以上の考えを,複数センサを有する自律移動ロボットの走行制御と屎尿処理プラントのプロセス制御の両問題に対して適用し,実証した。
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