Research Abstract |
本研究テーマを遂行するにあたり,指先において対象物との接触点における接触力ベクトル及び滑りの有無を高感度に検出できる触覚センサが重要であることから,接触力ベクトルと滑り振動を検出できるセンサの製作を行った.その結果,ポリイミドフィルムをベースとし,PVDFフィルムをトランスデューサとして組み合わせることにより,およそ1.5Nまでの接触力の3軸成分及び250H_zの滑り振動が1mmの振幅でも検出可能であり,構造的に柔軟性を有する接触センサを開発することができた.この他,センシングのためのハードウァアとしては,精度は低いが検出可能な接触力のダイナミックレンジが広い関節力覚センサを製作した. さて,手指の制御に関しては,物体の安定把握を基本状態モードとして位置づけ,この状態で作業力,作業位置の変更を行う研究を進めた.そして,微細かつ高速な接触力の制御から低速ながら大きな把握力の調製までを局所的な閉ループ制御構造によって安定把握を達成することができれば,このモード下で繰り広げられる作業に必要とされる制御構造を飛躍的に単純化できることを突きとめた.この考えに基づき,対象物を把持するために要求される把握力に応じて,指1本の各関節の力制御を階層的に行う手法を提案するに至った.これは,ヒトの筋肉の相動単位と緊張単位の使い分けに相当すると考えられる.すなわち,他指ハンド各指の分散制御は指1本の各関節の分散制御を起点として実現されることが判明した.次年度以降も引き続き,本提案の検証を行う予定である.
|