Research Abstract |
PWMインバータにおける上下アーム素子のオン,オフ時間と短絡防止時間を考慮して,インバータの出力電圧を決定し,永久磁石形ACサーボモータ駆動系に用いる解析法を提案した.この解析法を用いて,電流制御,トルク制御への影響が大きい低速時,軽負荷時について計算を行った.数値計算にはFORTRANを用いた. DSPを用いた永久磁石形ACサーボモータ(200V,3000rpm,771W)駆動システムより,中速時(1000rpm),低速時(100rpm)における実際の相電流波形を得た.解析波形と実験波形の一致より,解析の妥当性が確認できた. デッドタイムには,素子がスイッチングする際その素子を流れる相電流の向きにより,「長い場合」(短絡防止時間+オン時間,これをLと呼ぶことにする)と「短い場合」(オフ時間のみ,これをSと呼ぶことにする)があり,1サンプリング期間に3回のデッドタイムが現れるが,今回,数値解析により次のことを明らかにした. (1)3回のデッドタイムは高速時,負荷時などの高変調率時にはあまり重ならないが,低速時,軽負荷時のような低変調率になるにつれて重なる割合が増加し,程度が著しくなると,出力電圧パターンが理想的なものと異なる場合がでてくる. (2)各サンプリング周期の1回目のデッドタイムは必ずL,2回目はスイッチング時刻におけるスイッチング相の電流の向きによりLまたはS,3回目は必ずSとなる. さらに上記(2)に基づき,電流検出遅れがない場合に限定して,数値解析によりデッドタイムの補償を行った結果,ほぼ良好な補償効果が得られた(各々の相電流が0になる付近で僅かに波形の乱れを生じる).今後,補償時の相電流0付近における挙動と,実験装置では不可避な電流検出遅れまで考慮した補償法の検討が必要である.
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