Research Abstract |
分解可能ブロック変調符号の多段階復号法は,符号を1つ固定した場合,復号誤り確率と復号の装置化の複雑度を,かなり自由に選択することができるため,実用上大変有望である.また,比較的符号長が短く復号の複雑度の低い符号を1段で軟判定最尤復号する場合と比較して,全体の復号の複雑度を同程度に保ったまま,各成分符号に符号長,レートの大きな符号を用い,多段で復号を行なうことにより,同等の誤り特性が得られる場合があることが知られている. 本研究では,上述の多段階復号法の誤り確率の効率のよい近似計算法について,次の1.-3.を行った. 1.PSK変調,QASK変調上の分解可能ブロック変調符号を加法的白色ガウス雑音をもつ通信路で用い,各段で最尤復号を行う場合の誤り確率の極座標和集合上界の計算法の考案,及び,上界式の導出. 2.誤り確率の極座標和集合上界式において振幅方向成分に沿った積分を行う際,上界値の精度に支配的な影響を与える領域である,送信符号語からのユークリッド距離が最小距離の半分に近い領域の誤り確率(ある振幅値が与えられた時の条件つき誤り確率)の詳細な評価式の導出. 3.前述1.の上界式の計算を行なうプログラムや,前述2.の最も支配的な領域の誤り確率の評価を行なうコンピュータシミュレーションを行なうプログラムの開発.それらを用いた,いくつかの分解可能ブロック変調符号を加法的白色ガウス雑音の下で用いた時の誤り確率の解析.誤り確率解析と復号複雑さの解析結果を総合することによって得られる,ここで取り上げた復号法そのものの有効性の評価.
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