Research Abstract |
各種産業廃棄物の中でも,石炭火力発電所から排出されるフライアッシュや製紙工場において発生する製紙スラッジ焼却灰などはその物理的,化学的,工学的性質からみて道路や鉄道の路盤,路床,盛土材料として有効利用できる可能性の高い材料と考えられる。しかし,それらの利用率は発生量の30〜60%に止まっており,残りは埋立て処分されている実状にある。したがって,資源の活用という観点からすれば,これら廃棄物の利用範囲を広げることが今後の大きな課題になるといえよう。 このような背景を踏まえて,本研究では,道路の軟弱路床を安定処理するにあたって安定材(セメント)とともにフライアッシュを混合したときにも期待すべき改良効果が得られるかどうかについて検討を行った。さらに,混合の均等さや安定材分布の均一さの向上を図るために,予め水で表面を濡らした砕石に安定材を付着させ,これを路床土に混合したときの効果の有無についても検討を加えた。 上記の研究課題に関して,研究期間内に得られた主要な結果を以下に列挙する。 (1)路床土に砕石だけを混入しても支持力の増加はさほど期待できないが,これにセメント付着砕石を混ぜ合わせるとCBRは当初の2〜6倍の大きさとなる。 (2)路床土にセメント付着砕石を混合したときのCBRは,セメントと砕石とを個別に混合したときのCBRの約2倍となり,このことから,セメント付着砕石は安定材の分散域の拡大に益するところが大きいとみなすことができる。 (3)路床土ににフライアッシュを混ぜ合わせると材料全体の乾燥密度が高くなり,混入量の増加ともにCBRも大きくなる。さらに,これにセメント付着砕石を加えると,CBRはフライアッシュ単独の場合の2〜4倍の大きさとなる。したがって,上述(2)の結果と併して「セメント付着砕石およびフライアッシュを用いた路床改良法」を確立することは将来的にみて十分に可能と判断される。
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