Research Abstract |
同一個人から得られた選好意識(SP)の時間的安定性について検討した.具体的には,過去3時点(1987,88,90年)と同じ回答者を抽出して同じ質問形式のSP調査を実施し,開業1年前の新交通システムに対するSPが4〜7年前のSPと比べてどの程度変化したか,その主要な原因は何か,SPに対する交通サービス要因の主効果はどの程度変化したかについて,集計分析,分散分析,交通機関選択モデルの推定を通して検討した.分析の結果,以下の結論が得られた. 1)交通システムに対するSPは,個人の社会経済属性や利用交通手段が変化することにより大きく変化する.しかし交通手段の変化とSPの変化には時間的にずれがあり,同時マルコフ推移の仮説は棄却され.1時点データに基づくモデル構築の限界が示された. 2)SPに影響を及ぼす交通サービス要因の主効果は時点の違いによって異なっており,同じ個人が交通機関選択で重要視する要因は計画の進展と共に変化することが明らかになった. 3)集計ロジット型の交通手段選択モデルを時点毎に推定した結果,いくつかの交通サービス変数の推定パラメータは時間的に安定していないことが示された.また異なる時点のモデルの誤差項間には一次の系列相関が存在することが実証された.
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