Research Abstract |
本研究で得られた知見を以下に示す。 1.球面座の形状の影響 球面座の中心位置および上部支承との荷重伝達位置に関して,圧縮強度試験および有限要素解析を行った結果,球面座の中心位置が加圧板の加圧面上にない場合には,比均質な供試体の変形が生じると,水平方向からも荷重が作用し,供試体に異常な剪断応力が生じるため,圧縮強度の低下を生じる。また,上部支承との荷重伝達位置が加圧面より離れているほど供試体には均等な応力が伝達される。 2.球面座の寸法の影響 球面座の曲率半径および上部支承との接触面積を要因として,圧縮強度試験および有限要素解析を行った結果,球面座の曲率半径が小さく上部支承との接触面積が小さい場合には,圧縮強度試験結果は大きな変動を示す。また,逆に曲率半径が大きく上部支承との接触面積が大きい場合には,供試体側面の端部に応力集中が生じ,圧縮強度の低下を引き起こす。 3.球面座の回転性能の影響 潤滑剤の種類,球面座の中心位置,球面座と上部支承との接触面積,偏心載荷および供試体の均質度を要因として,圧縮強度試験および有限要素解析を行った結果,摩擦を低減させる作用の高い潤滑剤(グリースなど)を用いた場合,その他の条件に関わらず圧縮強度は低下する可能性があり,特に上部支承との接触面積が小さく,偏心載荷であり,供試体が非均質な場合には,極端に低い圧縮強度試験結果を示す。 したがって,強度低下を引き起こさず,安定した試験結果を示すために必要な球面座の性能として,中心位置が加圧面上にあること,曲率半径は供試体半径と同等もしくは幾分大きめであること,上部支承との接触面積は供試体断面積程度であること,鉱物油を潤滑剤として用いることが挙げられる。
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