Research Abstract |
本研究では,沖縄県における飛来塩分特性とコンクリート中への塩分拡散性状を調べるべく,沖縄本島の南部地区,中部地区,北部地区にて飛来塩分の測定を行い,過去に設置した暴露供試体のコンクリート中への塩分拡散性状と飛来塩分量との関係を考察した。 南部地区での飛来塩分測定地点では,海岸汀線からの距離を考慮して,汀線から最短距離で10m,150m,250m,550m地点の4ヶ所で,東西南北方向について飛来塩分測定を行った。その結果,海岸汀線から離れるに従って飛来塩分量は減少していくことが分かった(例えば,1993.12.27〜1994.1.31期間中北側部で,10.350,4.215,2.248,1.660(NaCl‥‥mg/dm^21day))。しかし,いずれの測定地点でも本土の平野部で海岸からの距離毎に測定した他の研究結果の値よりかなり高い値となっている。 中部地区の飛来塩分測定地点は1ヶ所で,この測定地点の特長は,海岸線沿いに砕波ブロックが設置されていることである。この測定地点は海岸汀線より約50m程離れているが,南部地区で汀線から最短距離で10m地点での測定値より高い値を示すことがある。これは,南部地区10m地点ではリ-フにより波の砕波が比較的緩やかと考えられるのに対し,この測定地点では砕波ブロックにより砕波が激しいものと考えられ,この影響によるものと考えられる。 北部地区での飛来塩分測定地点では,すでに暴露された供試体のコンクリート内部への塩分拡散性状と飛来塩分量との関係を考察することを目的としている。ここでの飛来塩分量は,南部地区で汀線から最短距離で10m地点と同程度である。この地点で,コンクリート中の塩分の拡散状況は,6ヶ月間でコンクリート表層の塩分量がコンクリート重量比の0.09%を示し,一般に言われている鉄筋腐食危険ラインの0.03%の3倍もの値に達することが分かった。
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