Project/Area Number |
05750595
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Physical properties of metals
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
沼倉 宏 京都大学, 工学部, 助手 (40189353)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1993: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | ニッケル / 水素-炭素相互作用 / 拡散 / トラップ効果 / 内部摩擦 / 磁気余効 |
Research Abstract |
金属中の水素の固溶度や拡散挙動は不純物原子の存在により影響を受ける。ニッケル中の金属不純物が水素をトラップすることが種々の実験により明らかになっているが、炭素も水素をトラップして複合体を形成することを示唆する実験結果が報告されている。本研究ではニッケル中における炭素と水素の相互作用を明らかにすることを目的として、内部摩擦と磁気余効の実験をおこなった。 まず、Ni-C-H希薄合金について周波数約1Hzの内部摩擦を測定した。161K付近に、以前報告されている磁気余効のピークに対する緩和型の内部摩擦ピークが見出された。新たにおこなった磁気余効の測定とあわせて緩和の活性化パラメーターを解析し、活性化エネルギーは0.34±2.02eV,頻度因子は1×10^<12>s^<-2>と求められた。次に、炭素濃度0.2-1.3at.%,水素濃度0.02-0.2at.%の範囲で内部摩擦むピークの大きさの濃度依存性を調べた。その結果、炭素濃度に対しては濃度の1次ないし2次に比例し、水素濃度に対しては濃度が低い範囲では1次に比例して大きくなることがわかった。しかし、水素濃度が炭素濃度の20-25%を越えるとピークの大きさはほとんど変わらなくなる。 以上の結果より、観測された緩和ピークは以前の研究で推測されていたように炭素原子と水素原子が一対一の複合体の再配向、すなわち炭素原子近傍での水素原子の短範囲拡散によるものと考えられる。しかし、活性化エネルギーが純ニッケル中の水素の拡散の活性化エネルギーとほとんど等しいこと、またピークの大きさが水素濃度が炭素濃度よりも低い値で飽和することを考えると、水素原子と炭素原子の相互作用エネルギー(複合体の結合エネルギー)はかなり小さく、おそらく0.1eV以下であると推察される。今後、これを検証する実験が必要である。
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