表面分析法を駆使したステンレス鋼の高温酸化に関する触媒化学的研究
Project/Area Number |
05750638
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Material processing/treatments
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐伯 功 北海道大学, 工学部, 助手 (50235090)
|
Project Period (FY) |
1993
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
|
Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1993: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
|
Keywords | ステンレス鋼 / 高温酸化 / 触媒 |
Research Abstract |
本年度の研究内容は次のとおりである。まずスパッタ蒸着およびイオンビーム蒸着により、それぞれ金および白金を1ないし10nm相当コーティングしたSUS430ステンレス鋼を作成した。これらコーティングしたSUS430ステンレス鋼および対照実験としてコーティングを施さないSUS430ステンレス鋼(比較材、以下略)について1273K、O_2-H_2O-N_2雰囲気での高温酸化を行い、酸化にともなう試料の質量変化を追跡し、速度を求めた。また、各酸化時間で生成した酸化物皮膜の形態、組成、および結晶構造を電子顕微鏡、光電子分光分析、およびX線回折により測定した。 まず比較材について述べる。O_2-N_2雰囲気で酸化した場合には、酸化時間120min程度までは酸化物皮膜は放物線則に従って成長し、この段階での皮膜の厚さは約3mumであった。これ以降では急激に酸化速度が増大して、いわゆるbreakawayを起こした。breakaway前では皮膜はほぼCr_2O_3であるのに対してbreakaway後ではFe_2O_3および(Fe,Cr)_3O_4であった。雰囲気にH_2Oを導入すると、挙動および生成物は上述の場合と違いは無いものの、breakaway発生までの時間は著しく短くなることが明らかになった。以上の結果と、金および白金をコーティングした場合の比較を次に述べる。 金をコーティングした場合、金の付着量に関わらずbreakaway発生までの時間、生成物の形態、組成は比較材の場合とほぼ同じ結果となり、また水蒸気の効果についても差は見られなかった。金は表面での酸化物生成反応に対して全く関与していないと結論できる。 白金をコーティングした場合、生成物の形態、組成、および構造は比較材とあまり差がないものの、breakaway前の酸化速度は白金付着量の増加とともに増加した。またbreakaway発生までの時間は、O_2-N_2雰囲気の場合には比較材とほぼ同じであったのに対して、雰囲気に水蒸気を導入した場合には著しく短くなった。 これより、水蒸気を含む雰囲気におけるステンレス鋼の高温酸化に関して、水蒸気は酸化剤として直接反応に寄与しており、表面の組成が水蒸気の解離反応を触媒して、酸化を促進させる場合があることが明らかになった。
|
Report
(1 results)
Research Products
(1 results)