Project/Area Number |
05750663
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
化学工学一般
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
工藤 伸一 東北大学, 工学部, 助手 (60241535)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1993: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | ハイドロゲル / 機能性材料 / 体積相転移現象 / 疏水性相互作用 / 状態方程式 / 分子設計 |
Research Abstract |
水溶性高分子の三次元架橋体であるハイドロゲルは、体積相転移現象が発見されて以来、新規な機能性材料への応用が注目されている。特に電荷を有する高分子電解質ゲルの体積相転移は、溶媒組成、温度、ph、塩濃度および電場などの種々の外部環境因子の変化で引き起こされ、その際の体積変化が大きいことから、アクチュエータやドラッグデリバリーシステムなどのスイッチ機能性材料への応用が考えられる。本研究では、高分子ゲルの体積相転移を利用した機能性材料開発のための基礎的知見を得る目的で、高分子電解質ゲルの体積相転移現象の支配因子並びにメカニズムについて検討した。 高分子電解質ゲルの膨潤平衡挙動と、水中に添加するイオンの種類、及びゲルを構成する高分子鎖の分子構造との関係について系統的に調べた結果、水中における高分子電解質ゲルの膨潤平衡挙動は、ゲルの持つ荷電基の対イオン種に対し強い選択性を示し、解離性の低いイオンが対イオンの場合、外部電解質濃度の増加によって荷電基の解離度が減少して体積相転移が発現することがわかった。また、このような相転移は水に対する親和性の低いゲルにおいて生じ得ることも見いだした。さらに、温度依存性と相転移パターンの関係について測定を行い、水中において相転移が生じる際の分子間力としては疏水性相互作用が支配的であることを明確にした。 次に、1)高分子溶液系に適用されるFlory-Hugginsの理論、2)Donnan膜平衡理論に基づくゲル内外の可動イオンの濃度差、及び3)エントロピー弾性に基づくゴム弾性理論を基にしたゲルの状態方程式を提案し、実験結果に対する理論的な考察を行った。その結果、高分子電解質ゲルの相転移挙動が、水中に添加したイオンとの会合平衡に基づいた荷電基の解離度の変化と、高分子鎖/溶媒間の相互作用の相違を考慮することにより表現し得ることが明らかとなった。 さらに、本研究で提案したゲルの状態方程式を用いて、有機溶媒中で体積相転移を生じ得る高分子ゲルの分子構造を推算し、それに基づいて合成したオルガノゲルの膨潤平衡挙動を調べた。その結果、有機溶媒中において100倍以上の不連続体積変化を示すゲルを見いだした。このことは、本研究の推算法が、種々の溶媒中において相転移を生じ得る高分子ゲルを分子設計する際に有効であること示すものである。
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