Research Abstract |
本研究は、高付加価値材料を製造する際の出発素材として注目されている粒度・形態が均一に制御された金属あるいはセラミックスの超微粒子を、溶融金属に反応性プラズマを照射して発生させる製造法において、超微粒子生成過程における超微粒子の粒度・形態を支配する因子を明らかにするとともに、微粒子の発生速度・成長速度を反応速度論的に把握することを目的として行われた。ここでは窒化チタンを対象に、発生容器内を窒素で置換した後に、試料台上で溶解させた数十gのボタン状金属チタンに、種々のプラズマ条件(電圧,電流,ガス供給量等)に設定した反応性プラズマを照射することによって超微粒子を発生させた。しかし、微粒子発生速度を反応速度論的に解析する際に必要となる試料温度,周囲の伝熱および物質移動環境の各プラズマ条件による変化を実験時に把握することが困難であった。そこで、反応性(アーク)プラズマ照射時の試料容器内の状況を数値解析により把握するための数学モデルの作成を行った。本数学モデルは、試料容器内の流動および熱と物質の移動状態を表現するため、連続の式,運動量保存式,電熱方程式,物質保存式および乱流エネルギーとその消散率の保存式から構成され、これらの方程式を連成して解いている。現在のところ実際のプラズマ条件での解析には至っていないが、プラズマト-チ直下ではガス流速が大きく、伝熱速度および物質移動速度が大きくなっているのに対して、試料台の周辺,ト-チ側部およびガス流出口付近での流速が非常に遅くなっていること、また、ト-チ側部には循環流が形成されており、発生した超微粒子の補集時には注意を要することが示唆された。現在、実際のプラズマ条件下での数値解析について検討を継続しており、今後その結果を踏まえて実験結果の速度論的な整理,検討を行う予定である。
|