Research Abstract |
粉砕整粒した石英微粒子を単粒子球殻状に配列させた構造の壁を持つ石英マイクロカプセルの調製法について研究を行った。 同法では水中の油滴を石英粒子の単粒子層で覆い,炭酸カルシウムを石英粒子間に析出させ結合した。効率的な調製法及び調製条件を追求するために, (1)カルシウムイオン存在下での石英粒子の油滴への付着,(2)石英粒子状への炭酸カルシウムの析出について検討し以下の結果を得た。 (1)カルシウムイオン存在下では,アルカリ性で生成するヒドロキシ錯体CaOH^+が石英粒子,油滴双方に特異吸着し,その結果Ca^<2+>を介した石英粒子と油滴の架橋結合がなされる。このため石英粒子は容易に油滴に付着する。しかし,pHが高すぎると凝集が過度となり,複数の油滴を取り込んだ石英粒子の大きな凝集体ができる。よって石英粒子で単粒子層状に被覆された独立した油滴を得るためには,pHを11-11.5に調節することが必要である。 (2)石英粒子上への炭酸カルシウムの析出には,粒子表面へのCaoH^+の吸着が必要で,これが炭酸カルシウムの前駆体となっていると考えられる。析出は石英粒子の粗い破断面でおこりやすい。 バルク中での析出を避け粒子表面に選択的に析出させるためには,炭酸カルシウムの析出速度を遅くすることが必要である。このため本法では当初は空気中の希薄な炭酸ガスをアルカリ性のカルシウム塩溶液に12-24時間吸収させていた。しかしこれは炭酸カルシウムの析出が溶液表面に限られるため生成効率が数%と低く,特に石英粒子が1mum以下と微粒な場合は中空体同士が結合子独立した球体が得られない問題があった。そこで,クエン酸ナトリウムなどの有機沈殿抑制剤の存在下でカルシウム塩と炭酸塩を混合する方法に改良したところ,生成功率が40%以上に増大し,また石英粒子がより微粒な場合にも適用が可能となった。
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