Research Abstract |
禾本科のうち稲では既にプロトプラストからの個体再生系が確立されている。そこで稲と大麦のプロトプラストにおけるエレクトロポレーションの条件を検討した。また大豆の振盪培養細胞ならびに馬鈴薯の葉肉プロトプラストとも比較した。振盪培養細胞からプロトプラストを調整しpBI221(35Sプロモーター+GUS)のエレクトロポレーションを行った。処理後3日目のプロトプラストのグロクローニダーゼの活性をMUGによる蛍光値により検討した。稲の場合、GUS活性は電気容量250muF時で電圧が900V/cmのときに最も高い活性を示した。また大麦の場合活性の最大値は120V/cmで稲・大豆の振盪培養細胞に比較し高い値を示した。供試するDNAの精製方法によっても影響を受けた。塩化セシウムによる精製とQIAGEN(QIAGEN社)により精製を比較した場合QIAGENによるほうが1.5倍近く活性が高くなった。しかしながら35Sプロモーターによる発現はトランジェントアッセイの場合においても双子葉植物と比較してかなり低かった。 大麦の誘導組織の違いによるカルスについて比較検討した。種子の芽生えの生長点からカルス誘導を行いそれらの振盪培養による維持・増殖を行なった。これらのカルスと未熟配胚より誘導したカルスのタンパク質の相違をSDS-PAGEにより検討した。これらのカルスは両者とも品種ディサより誘導した。培養期間は1年以上経過しており安定した細胞系統を使用した。幾つかのタンパク(主に90kD,40kD,33kD,19kD,17kD)において差が見られた。これが誘導組織による継代培養中の変異か不明であるが今後これらの系統を比較することで形態形成能の違いについて検討を加える必要がある。
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