養液栽培を利用した根圏環境制御によるブドウ果実の成熟調節
Project/Area Number |
05760027
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
園芸・造園学
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
本杉 日野 京都大学, 農学部, 助手 (10182172)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1993: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | NFT / ABA(アブシジン酸) / アントシアニン / ブドウ / 果実成熟 / 水分状態 |
Research Abstract |
ブドウ果実の成熟開始期において、果皮へのアントシアニンの蓄積にはABAレベルの上昇が不可欠である。ブドウ果実の着色は高気温により抑制され、特に夏季の施設内ではその傾向は顕著になる。そこで、根圏環境の制御が容易な養液栽培の1手法であるNutrient Film Technique(NFT)を導入し、果実成熟開始期に、一時的に培養液条件の改変を行うことによりABAの蓄積を促し、高気温下でも充分な着色と品質を持つ果実を生産することを試みた。同時に、植物体の水分状態を、プレッシャーチャンバー、及び変位センサーで測定される茎径の変動により測定した。材料として、NFTによる栽培歴1年の‘巨峰'"を用いた。培養液浸透圧を上昇させる目的でのPEG#4000の添加は、浸透圧とは別の害作用を引き起こしたとみられ、樹体の水分吸収を完全に抑制したため、着色を促進したが、樹体は回復せず枯死に至った。一方、培養液の窒素をアンモニア態のみとし、pHを3.5以下に維持すると、一時的に細根を壊死させ、吸水を抑制するとともに、葉及び果皮中のABA濃度の上昇を引き起こし、果実着色を促進した。さらに、2週間の処理後、培養液pHを5.5に戻すと、旺盛な発根及び、水分状態の回復が認められ、果実の糖、酸においては、対照区に劣らない果実が収穫された。一方、標準培養液として用いている、1/5濃度のHoagland液において、pHを3.5に調整した場合には、細根の壊死が起こったが、水分状態及びABAレベルの変化も小さく、着色への影響が認められなかった。以上のことから、水分状態の変動と、果皮中へのABAの蓄積との間に関係があると思われるが、今後、その蓄積の機構についての詳細な研究が必要である。
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Report
(1 results)
Research Products
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