Research Abstract |
本研究では、1)光合成生物で初めて見いだされたChlamydomonas reinhardtiiのグルタチオンペルオキシダーゼ(GSHP)の発現機構、2)GSHPと共役して機能するグルタチオンレダクターゼ(GSHR)の酵素学的および免疫学的性質、3)Chlamydomonasに存在するH_2O_2消去系酵素の役割分担を含めたH_2O_2消去系の機能を明かにした。 Chlamydomonasを亜セレン酸ナトリウム(3mg/l)を含む培地で培養すると既存のアスコルビン酸ペルオキシダーゼ(AsAP)が消失し代わりに動物特有と考えられていたGSHPが発現した。牛赤血球GSHPに対するポリクローナル抗体を作製し、これを用いて免疫滴定を行ったところ、セレン(Se)添加によるGSHP活性の上昇はタンパク質の合成によることが明らかになった。また、本酵素の誘導は高CO_2濃度(3-5% CO_2)や暗黒処理により著しく阻害された。このことからChlamydomonasGSHPは光合成偽循環型電子伝達系でO_2を介して生成されるH_2O_2の消去に有効に機能していることが示唆された(Plant Science,94,81-88(1993))。 ChlamydomonasのGSHRを精製し酵素学的性質を調べたところ、高等植物およびEuglenaのそれと類似していた。しかし、これまで報告されているGSHRは同一のサブユニットからなる2量体であるのに対し、ChlamydomonasのGSHRは分子量56kDaのモノマーであった。精製酵素はEuglenaおよびホウレンソウ葉のGSHRに対するポリクローナル抗体に反応した(J.Gen.Microbiol.,139,2233-22388(1993)). Chlamydomonas細胞に存在するH_2O_2消去酵素の局在性を検討したところ、Se添加(+Se)細胞に存在するGSHPはGSHRと共に細胞質に、Se無添加(-Se)細胞に存在するAsAPはAsA再還元系を構成する酵素と共に葉緑体に局在していた。H_2O_2消去酵素の役割分担についてみると、+Se細胞ではH_2O_2消去は主にGSHPにより行われていた。一方、-Se細胞では60%のH_2O_2がカタラーゼにより、 そして残りはAsAPにより消去されていた。また、Chlamydomonasより単離した無傷葉緑体を高酸素および強光下に置くと葉緑体外へのH_2O_2の移行が認められた(Plant Peroxidases:Biochemistry and Physiology,257-262(1993))。 研究成果は1993年に行われた国内(4回)および国際学会(植物ペルオキシダーゼ会議;デンマーク、国際植物学会;横浜)で発表し、上記の外国雑誌論文に掲載した。
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