Research Abstract |
森林地斜面における表層崩壊発生に関しては、従来から斜面基盤上の土層厚,及び樹木根系が、その機構に深く関与していることが指摘されているが、森林土壌のもつ不均一性の為に、その土質強度特性に与える影響を定量的に明かにしたものは少ない。 本研究では森林土壌の土質強度特性を正確に測定するものとして改良型の一面せん断試験器を試作し剪断試験を行った。この試験器に要求される性能は、(1)森林土壌の不均一性を出来る限り排除するために大型の試料を剪断できること,(2)剪断される試料に関しては樹木根系が土質強度に与える影響を現場に近い状態で得られるように、不撹乱であること,(3)土壌水分のコントロールが容易に出来ること,の3点である。 上記の3点をみたすものとして改良型の一面せん断試験器を試作し、第一段階として、試験器の性能を検査するために豊浦標準砂を試料に用いて一面剪断試験を行った。その結果、垂直応力-剪断応力関係には良好な正の相関が認められ、従来の剪断試験器による試験結果とも対応し、充分実用に耐え得ることがわかった。また土壌水分の制御は試料内の水頭位置を変化させサクションを測定することで実現したが、その結果、豊浦標準砂において土壌水分が剪断強度特性に与える影響は土質強度特性を示すパラメータの内部摩擦角,粘着力の2点について、粘着力に寄与する影響が大きく、内部摩擦角には影響を及ぼさないことが検出された。現在では、東京大学千葉演習林内の新第三紀層に属する森林土壌を不撹乱の状態で採取し、飽和状態で剪断試験を行い、樹木根系が剪断強度特性に与える影響を評価する段階に入っている。
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