Research Abstract |
クロロフィルa濃度は植物プランクトンの現存量の指標として広く用いられている.しかしながら海洋生態系における有機物の流れを評価する場合、植物プランクトン量を有機炭素単位で表す必要がある.その場合,クロロフィルa濃度に炭素/クロロフィル比を乗じて植物プランクトン炭素量が見積られることが多いが,その比は種,生理状態などによって大きく変わることが知られている.本研究では,水中光量の変化に対する植物プランクトンの応答,特に細胞サイズの変化について明かにすることを目的とした. 植物プランクトンの採集は,1993年6月15日〜24日の期間,四国南方の亜熱帯海域において,三重大学練習船勢水丸によって行った.当該海域の27測点において,表層から水深100mの間の10層からCTDロゼットサンプラーで海水試料を得た.得られた海水試料を孔径2mumのヌクリポアフィルターでろ過し,ピコプランクトンを分画した.さらに孔径0.2mumのヌクリポアフィルター上にピコプランクトンを集め,クロロフィルa濃度およびピコプランクトン群集を調べるためのプレパラートを作成した.このプレパラートを蛍光顕微鏡により観察し,ピコプランクトン細胞数および細胞の大きさを調べ,細胞当りのクロロフィルa含量を明かにする.また同時に水中光量子計により,水中光量の鉛直プロフアイルを得ており細胞当りのクロロフィルa含量と水中光量との関係を解析する.さらに,同一地点における硝酸塩濃度も得られているので,栄養塩量との関係からも解析を行う予定である.
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