Project/Area Number |
05760169
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Fisheries chemistry
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Research Institution | Suntory Institute for Bioorganic Research |
Principal Investigator |
安田 明和 財団法人サントリー生物有機科学研究所, 研究員 (90211614)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1993: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | アメリカザリガニ / 脱皮抑制ホルモン / 甲殻類血糖上昇ホルモン / アミノ酸配列 / D型アミノ酸 / 機能分化 |
Research Abstract |
甲殻類の脱皮は、体胸部にあるY器官からエクジステロイド(脱皮ホルモン)によって引き起こされる。また、Y器官におけるホルモン合成と分泌は、眼柄内に存在するX器官サイナス腺複合体とよばれる神経内分泌器官からのホルモンで調節されている。従って、脱皮に係わる眼柄ホルモンの解明は、甲殻類の成長機構を分子レベルで理解するのに極めて重要である。本研究は、アメリカザリガニの眼柄からエクジステロイド合成を抑制するペプチドを単離しその一次構造を解明した。1.単離:アメリカザリガニの眼柄の塩酸抽出物をセファデックスG-75カラムで分画し、Y器官の器官培養におけるエクジステロイド合成の抑制活性が認められた画分をさらに逆相高速液体クロマトグラフィーに付し、2成分の活性ペプチドを単離した。溶出順にIおよびIIとした。2.一次構造:IとIIは共に72残基から成り、アミノ末端はピログルタミン酸、カルボキシ末端はバリンアミドであった。また、7位と43位、23位と39位、および26位と52位に3個のS-S結合を有する。このペプチドの構造はOrconectes limosus(ザリガニの一種)の甲殻類血糖上昇ホルモン(Crustacean hyperglycemic hormone、CHH)の構造と1残基した違っていなかった。しかしながらIとIIの間には、3位のフェニールアラニン残基がIではL体であったの対し、IIではD体に転化していた。4.活性試験:12.5pmolのIとIIは、共に眼柄除去したザリガニの血糖値を平均14mg/100mlレベルから30〜40mg/100mlへと上昇させた。また、Y器官の組織培養におけるエクジステロイド合成の抑制効果は、1では250nmol/L、IIでは25nmol/Lにおいて有効であった。以上の構造解析および生物活性試験の結果から、眼柄ホルモンの1種で炭水化物の代謝に関与してきるCHHが、配列順位3位に立体配置の転化を受け、脱皮調節への機能分化をしている可能性を強く示唆した。
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