Project/Area Number |
05770111
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Pathological medical chemistry
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
石井 達 財団法人 東京都臨床医学総合研究所, 臨床遺伝学研究部門, 研究員 (00222935)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1993: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | alpha-ガラクトシダーゼ / シグナル配列 / アミノ酸置換 |
Research Abstract |
ファブリー病は リソソーム酵素であるalpha-ガラクトシダーゼ(alpha-Gal)の遺伝的欠陥により生じる疾患であり、その臨床像の違いにより古典型と亜型とに分類されている。これまで我々は、ファブリー病患者の遺伝子解析から亜型患者の変異がエクソン6のアミノ酸置換であることを確認した。そこで、これら変異alpha-GalをCOS1細胞で発現させ、^<35>S-メチオニンを用いてパルス-チェイス実験を行った。正常alpha-Galは48kDaの前駆体から46kDaの成熟体へと変化するが、これら変異alpha-Galは48kDaのままであった。 そこで私は、本酵素のシグナル配列除去にこれらエクソン6のアミノ酸置換が影響し、プロセシングを遅らせ、その結果細胞内での残在活性の低下をひきおこしていると考えた。そこでまず、alpha-Galのシグナル配列をalpha-N-アセチルガラクトサミニダーゼ(alpha-NAGA)のシグナル配列と入れかえたキメラ酵素を作成し検討した。alpha-NAGAはalpha-Galと同じ、リソソーム酵素であり、アミノ酸配列で約50%の相同性を持ち、特にシグナルが除去された成熟体のN-末端配列は良く一致している。しかし、シグナル配列はその長さも異なっている。alpha-Galのシグナル配列が31残基、alpha-NAGAのそれは17残基で約1/2と短く相同する残基もわずか2残基である。 まず、正常alpha-Galについてシグナル配列を変えたキメラ酵素をCOS1細胞で発現させたところ、正常alpha-Galの約1/4と低置ではあるが、細胞内外でその活性が認められた。そこで次にこのキメラとエクソン6のアミノ酸置換を組み合わせた変異体を作成し、COS1細胞で発現させたところ、エクソン6のアミノ酸置換の影響は、シグナル配列にかかわらず、一定の割合で活性を低下させることがわかった。このことは、エクソン6のアミノ酸置換は直接はシグナル配列と相互作用していないことを示している。また、これまでに我々は、独自にエクソン6のアミノ酸置換体をバキュロウイルス・昆虫細胞系で発現精製した酵素の性質から、これらアミノ酸置換体は中性pHで熱不安定なタンパク質であることがわかった。しかも、この失活は、ガラクトースの添加により抑えることができ、変異体の活性も上昇する。シグナル配列を変えたキメラalpha-Galもガラクトース添加により活性上昇したことから、細胞内で熱による失活が生じていることがわかった。今回の実験ではエクソン6のアミノ酸置換とシグナル配列との関連性は否定されたが、失活とシグナル配列との関連性を示唆する結果が得られた。
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