Research Abstract |
紫外線が皮膚の表面に照射されたときには様々な生体反応が起こると考えられ、炎症反応もその一反応であると考えられる。本実験ではモデル系としてヒトケラチノサイト様癌細胞を用い、それに対してUV-C照射を施した時に産生されるIL8をはじめとする好中球走化性因子の産生についての解析を行った。ケラチノサイトとしてヒト毛胞細胞由来癌細胞DJM1を用い、UV-Cをdose(5J/m^2,10J/m^2,20J/m^2)を変えて照射し6時間後のヒト好中球走化活性を測定したところdoseに依存して活性が検出された。そこで、この条件でさらに高dose(30J/m^2,40J/m^2,50J/m^2)までとりIL-8をプローブとしたノーザンハイブリダイゼーションを行った。その結果、10J/m^2よりstady state levelでのmRNAの誘導が検出され30J/m^2で最大誘導を示した。30J/m^2でのIL-8の誘導のtime courseを調べた結果、4時間後よりmRNAの蓄積がみられ12時間後あたりで最大活性値を示した。このmRNAの蓄積には転写レベルのactivationが関与することが核のrun-offアッセイによって明らかになった。さらにmRNAのstabilityを調べた結果、UV照射により3倍程度のstabilityの上昇が見られた。これらのことから、IL-8のmRNAの増加は転写の活性化とmRNAの安定化によることが明らかになった。これらの誘導に関わるシグナル伝達に蛋白質合成が関与するかどうかcycloheximideを用いて調べた。その結果mRNAのsuper-inductionが見られ蛋白質合成が関与しないことが判明した。DNA除去修復能を欠くxeroderma pigmentosumの細胞であるXP20S(SV)細胞に対してUV照射を施したところ高感受性になり5J/m^2で、すでに最大誘導量を示した。このことは、シグナル伝達においてDNA損傷が関与することを示唆するものである。 IL-8ファミリーには、gro、ENA-78等が知られるがそれらmRNAの誘導についてもついてもPCR法により解析した。その結果、groalpha,beta,gamma,ENA-78の4種類のmRNA誘導に関して調べたが、grobeta,gamma,ENA-78に関してDJMI細胞ではmRNAが検出されなかった。groalphaは検出されたが20J/m^2の条件ではUV照射によるmRNAの誘導は見られなかった。
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