Research Abstract |
等電点電気泳動法およびイムノゴールド法を用いて血清中のインターalphaトリプシンインヒビター(ITI)型の判定を試みた。山梨県在住の健康成人より血液の提供を受けた。15U/mLノイラミニダーゼを血清9に対して1の割合で加え,37℃で一晩処理した。pH3.5〜9.5の両性単体を用いて厚さ0.25mmのポリアクリルアミドゲル平板を作成し,1000Vで30分間前泳動後資料をろ紙にしみこませて陰極側に置き,1000Vで210分間本泳動した。本泳動開始30分後にろ紙を除去した。泳動終了後,キャピラリー・ブロッテイング法で蛋白をゲルからニトロセルロース膜に転写した。この膜をトリス緩衝生理的食塩水(TBS)中で振とう洗浄して,3%ゼラチン/TBSに浸してブロッキングした。TBSで振とう洗浄後,TTBS(0.05%Tween20/TBS)で1/500に希釈したウサギ抗ヒトITI血清中で2時間振とうした。TTBSで洗浄後,TTBSで1/100に希釈したコロイド金結合ヤギ抗ウサギ血清中で1〜2時間反応させた。TTBSと蒸留水で洗浄後,現像液(0.11%乳酸銀,0.85%ハイドロキノン,0.2Mクエン酸/クエン酸ナトリウム,pH3.5)中で10〜20分間発色させ,ITI型を判定した。ITIについては現在のところ等電点電気泳動法により多数の表現型が報告されているが,今回用いた山梨県由来の資料からは,1型,2-1型,2型,3-1型,3-2型,3型,4-2型が観察された。新たにイムノゴールド法を導入することにより,これら全ての型について1/20程度に希釈した血清と実験的に作成した新鮮な凍結保存血痕からの型判定が可能であった。今後さらに改良を重ねて,各種温度条件下に放置した血痕からの型判定について試みていく予定である。
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