Research Abstract |
慢性膵炎15例(71検体)、急性膵炎3例(10検体)、膵癌2例(3検体)、胆道疾患20例(23検体)、その他の消化器疾患患者115例(118検体)を対象とし、血中膵アミラーゼ、リパーゼ、エラスターゼI、トリプシン、ホスホリパーゼA_2、pancreatic secretory trypsin inhibitor(PSTI)、CA19-9を測定し、それぞれの関連について検討し、飲酒歴との関係について考察した。 膵アミラーゼと、リパーゼ、エラスターゼI、トリプシン、ホスホリパーゼA_2、PSTIとの間には、それぞれ、相関係数が0.95,0.90,0.43,0.70,0.49で、P<0.001で有意な相関関係が認められた。またリパーゼ、エラスターゼI、トリプシン、ホスホリパーゼA_2、PSTIの相互間にも、それぞれ有意な相関関係がめられた。一方、CA19-9との間には、膵アミラーゼ、リパーゼ、エラスターゼI、トリプシン、ホスホリパーゼA_2、PSTIの全てが相関関係を認めなかった。また、飲酒量と血中各膵酵素値の間には、明らかな関連性はみられなかった。 以前、我々はラット膵では脂肪酸エチルエステル合成酵素活性が高く、エタノール投与によりラット膵組織中の脂肪酸エチルエステル含有量が増加することから、脂肪酸エチルエステルがアルコール性膵障害に関与している可能性を報告した。今回、ヒトの末梢血液を用いて、脂肪酸エチルエステル合成系についても検討を試みたが、安定した測定結果が得られず、更なる検討を加える必要があるものと思われた。
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