冠血管新生・心肥大・血管把厚に果たす組織レニン・アンジオテンシン(R-A)系の関与
Project/Area Number |
05770451
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Circulatory organs internal medicine
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
上月 正博 東北大学, 医学部・附属病院・第二内科, 助手 (70234698)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1993: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | アンジオテンシン / アンジオテンシン変換酵素 / エンドセソン / ACE阻害薬 / カルシウム拮抗薬 / キニン拮抗薬 / 心不全 |
Research Abstract |
本年度の研究では(1)左冠状動脈を結紮して心筋梗塞を生じた慢性心不全ラットの心臓のACEをautoradiographyにて分析した。その結果、代償性心肥大をきたした心室中隔や残存左室壁でのACEの有意の増加を認め、またin vitroの実験系で同様な作用を有するendothelinは変化を認めないことを明かにし、心臓R-A系が不全心での代償性心肥大に関与している可能性が示唆された。次に、腎血管特に腎糸球体の硬化、把厚に及ぼす組織R-A系の関与を検討するために、(2)5/6腎摘腎不全モデルを自然発症高圧ラット(SHR)に作成し、同程度の降圧効果を示す量のACE阻害薬(ACEI)のcaptopril、ramipril、Calcium拮抗薬(CCB)のnilvadipine、benidipineを12週間にわたった経口投与した。さらに、ACEIのenalaprilと特異的angiotensinII(AII)受容体拮抗薬のlosartan(LOS)およびキニン拮抗薬のHoe140(Hoe)の効果を2週間にわたり検討した。その結果、ACEI、CCBともに同程度の降圧効果、尿蛋白減少効果を示したが、sCr,BUNともにACEI投与群でより低値を示した。腎組織所見による検討でも糸球体高血圧の結果とみられるglomerular volumeの増加やglomerular sclerosisの進行がACEI投与群では防止されたが、CCB投与群ではvehicle投与群と全く変わらず、進行の防止は認められなかった。一方LOS投与により用量依存的に血圧低下をみたが、蛋白減少作用は低用量・高用量のLOSで同程度認められ、LOSの蛋白減少作用には体血圧低下作用以外の機序が示唆された。また、LOSにACEIを併用してもLOSの蛋白減少作用の増強はなく、ACEIにHoeを併用してもACEIの蛋白減少作用には変化を及ぼさず、ACEIの腎への効果はAIIの産生低下が主であると考えられた。高血圧による血管障害の予防とくに腎血管保護作用はACEIに認められ、主な作用機序はAIIの産生低下による。さらに(3)腎臓など重要臓器の発生に関与するR-A系の役割を明らかにするためにラット胎児のACEとAII受容体の動態を検討した。胎児では一過性に全身にAII受容体が出現し、成長に関与している可能性が示唆されるが、ACEではそのような減少は認められなかった。以上のような本年度の研究結果からR-A系は局所で心肥大・血管肥厚に関与する可能性が強く示唆され、さらにこれらの結果は心不全や腎不全での病態生理学的意義の解明や治療への応用、発展の一助となると考えられる。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)