Project/Area Number |
05770471
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Circulatory organs internal medicine
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
小川 孝 札幌医科大学, 医学部, 助手 (80240927)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1993: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | Preconditioning / reperfusion arrhyhmia / adenosine receptor / prostaglandins / bradykinin / rat |
Research Abstract |
本研究では、致死性の再灌流不整脈に対するpreconditioningに効果、ならびにその機序、殊にadenosine recepterの関与、更にprostaglandin、bradykinin receptorの役割について検討するため、実験群として以下の10群を設け、全てに5分間冠閉塞の後10分間再灌流を行った。(1)対照群;前処置せず。(2)PC群;5分間冠閉塞に先立ち2分間虚血/5分間再灌流によpreconditioning(PC)を行った。(3)8-PT群;adenosine recepterの阻害剤8-phenyltheophyline(8PT)10mg/kgを冠閉塞10分前に静脈内投与した。(4)8-PT/PC群;(3)群と同様に8PTを投与した後にPCを行った。(5)PTX群;心筋虚血前にGi蛋白を抑制するため実験の48時間前にpertussis toxin(PTX)20ug/kgを腹腔内投与した。(6)PTX/PC群;PTXの投与後にPCを行った。(7)ASA群;cyclooxygenaseを阻害するためasprin-DL-lysin(ASA)10mg/kgを冠閉塞10分前に静脈内投与した。(8)ASA/PC群;ASAを投与後にPCを行った。(9)Hoe群;bradykinin receptorの特異的阻害剤であるHoe140 20nmol/kgを冠閉塞30分前に皮下注射した。(10)Hoe/PC群;Hoel40を投与しPCを行った。以上の各実験群で再灌流時の心室頻拍(VT)、心室細動(VF)の発生頻度、それらの持続時間を解析したところ致死性再灌流不整脈であるVTもしくはVF(以下、再灌流VT/VF)の発生率は対照群では100%であり、そのうち60%にVF(VFもしくはVFならびにVT)が発生した。PC群では再灌流VT/VFの発生率は30%と有意に抑制され、いずれもVTであった。8-PT群においても対照群と同様、再灌流VT/VFは100%に誘発され、VFの発生は11%にみられた。これに対し、8-PT/PC群では再灌流VT/VFの発生率は10%と有意に低く、またVFの発生を認めなかった。PTX群の再灌流VT/VFの発生率は100%(VFは28%)であるのに対し、PTX/PC群では22%(VFは0%)と有意に低値であった。ASA群では再灌流VT/VFが100%(VFは56%)にみられたのに対し、ASA/PC群での発生率は22%(VFは0%)と有意に低値であった。またHoe群、Hoe/PC群での再灌流VT/VFの発生率は各々100%(VFは30%)、10%(VFは0%)であり、PCによる再灌流不整脈抑制はHoe140投与下にも認められた。以上の成績より今回我々の用いたラットの実験モデルに於てはpreconditioningは再灌流不整脈を著明に抑制するが、その機序は従来報告されてきた虚血心筋壊死に対するPreconditioning効果とは大きく異なり、adenosine Al receptorの活性化やG1蛋白の機能を介さず、また内因性prostaglandinやbradykinin receptorの役割も否定的と考えられpreconditioningが虚血による心筋代謝の変化を軽減し再灌流不整脈を抑制した可能性が考えられた。
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