Research Abstract |
私達は5年前からbis-diamineを妊娠9〜10日のラットに投与し,妊娠満期に胎仔を全身急速凍結法で固定し,心臓と大血管をin-situで研究してきた。いままでに妊娠ラット100頭,胎仔700頭の研究を行い,心臓と大血管の断面カラー写真数千枚を記録した。この研究ではこのカラー写真を元に各種先天性心疾患の胎生期の肺動脈の発達を研究した。 主な結論は次の如くである。 1.肺動脈弁欠損を合併するファロ-四徴症の胎仔が約100頭研究された。いずれも動脈管を欠損していた。肺動脈は著明に拡張していた。肺動脈の拡張は肺門部で最も高度であった。肺動脈の拡張は右室流出路狭窄が軽い程,高度であった。 2.通常のファロ-四徴症の胎仔を40頭研究した。その観察では主肺動脈は細いが左右肺動脈の太さは対照(心奇形無しの胎仔)と差が無かった。従って臨床例にみられる左右肺動脈の低形成は生後の発育不全によると思われる。 3.心室中隔欠損のラット胎仔30頭の研究を行った。その結果は主肺動脈,左右肺動脈の太さは対照と差がなかった。従って臨床例にみられる肺動脈の拡大は生後に生じると思われる。 4.心内膜床欠損のラット胎仔20頭の研究でも,主肺動脈,左右肺動脈の太さは対照と差が無かった。従って臨床的に認められる肺動脈拡張は生じたものと考えられる。
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