Project/Area Number |
05770607
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Dermatology
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤井 公男 京都大学, 医学部, 助手 (20209000)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1993: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | EGF受容体 / 偏平上皮癌細胞 / インテグリン / カドヘリン |
Research Abstract |
我々はEGF受容体を正常の約30倍過剰発現するヒト皮膚偏平上皮癌由来のHSC-1細胞親株、及び同受容体を約2倍発現する娘細胞株、及び正常ヒト皮膚表皮細胞を用いて、外因性EGFのこれら細胞のコロニー形態、細胞-基質間相互作用、及び細胞-細胞間相互作用への影響を比較検討し、偏平上皮癌におけるEGF受容体過剰発現の生物学的意義を推測した。10-100ng/mlのEDF添加により親細胞株に於てのみ明らかなコロニーの分散現象(cell scattering)が見られ、偏平な上皮性の細胞形態から紡錘状の間質性細胞に似た形態への移行が認められた。このような形態的変化にともない、親細胞株に於ては、細胞接着実験により、I型コラーゲンへの細胞接着のみが選択的に約3倍増加する一方、フィブロネクチン、フィブリノーゲン及びラミニンへのそれは逆に減少し、また貪食移動実験により、やはりI型コラーゲン上での細胞移動能のみが選択的に増加する事が認められた。ELISA及び免疫沈降法により、EGF刺激によりインテグリンalpha2サブユニットの選択的生合成の増加とそれに伴うalpha2beta1インテグリンコラーゲン受容体の発現増加が認められ、このことがI型コラーゲンへの細胞接着及び細胞移動能の増加に関与しているものと推測された。同時に親細胞株に於ては、細胞凝集実験により、E-カドヘリンを介したCa依存性の細胞間接着能の低下も認められたが、EGF処理によるE-カドヘリン分子自体の発現減少は認められず、同分子の界面活性剤への溶解性の増加と、同分子と共沈される複数の分子のチロシンリン酸化の増加が認められた。以上の事実は、過剰発現されたEGF受容体の情報伝達が、同種細胞間の接着性の低下とI型コラーゲン上での細胞移動能の選択的増加により、偏平上皮癌細胞の周辺間質への浸潤能を増強させうる可能性を示唆する。
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