Research Abstract |
はじめに正常ラット肝を0.25M蔗糖中で軽くホモジナイズし,1層のガ-ゼを通した後,1,000g,5分間遠沈,沈渣を0.25M蔗糖中で2回洗浄した.Tc-99mGSA(galactosyl human serum albumin)を用いてbinding assayを試みた.肝細胞と血球との分離が不十分であったためか,肝細胞とGSAの結合率は不十分であった.そこで,培養化されたヒト肝細胞(Chang Liver)を用い,同様のbinding assayを行った.この場合,GSAの結合率は平均0.56%とやはり非常に低かった.その原因として細胞分離に用いたトリプシンの作用,反応時の温度が4℃と低かったことなどが考えられた.そこで,培養細胞を組織培養フラスコに付着させたままで,培地にGSAを加え,37℃で3時間インキュベーション後,上清を採取し,これをカウントした.細胞数は一定(7.5×10^5個),GSAの濃度を変化(A群:3mg/ml,B群:3×10^3mg/ml,C群:3×10^6mg/ml)させ,細胞結合放射能と非結合放射能の比率(B/F)を計算した.結果はA,B,C群のB/Fはそれぞれ0.0656,0.1384,0.1925であった.これをScatchard plotすると,その傾き-K_aは-0.002となり,親和定数K_aは2.0×10^6M^<-1>と算定された.このことからin vitroで肝細胞とGSAの特異的な結合を確認することができた.次の段階として,手術標本を用いたGSAのbinding assayを試みたい.その際の問題点として腫瘍細胞をいかにviableな状態で採取し,GSAと反応させられるかという点があげられる.
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